サウジでの商標登録の方法
- サウジ知的財産庁(SAIP)で手続き
- 早めの出願が望ましい
- 本国の登録は自動的に保護されない
サウジでの商標登録はサウジ知的財産庁(SAIP)で行います。市場で活動を始める前の出願が理想です。
商品・役務区分を指定した出願、第三者が異議を申し立てられる審査期間を経て、承認後に登録されます。
本国での登録は補強材料にはなりますが、サウジでの保護は別途現地登録が必要です。
御社の状況に合わせた進め方は、WhatsAppでお気軽にご相談ください。
出願前に:先行商標調査と区分の選定
最もコストのかかる商標トラブルは、出願前の段階から始まっています。SAIPの商標データベースと実際の市場で簡単な先行調査を行えば、関連する商品・役務について同一または類似の商標がすでに登録・使用されていないかを確認できます。この段階で抵触を見つけるほうが、出願後に拒絶理由や異議申立てを受けるよりもはるかに負担が小さく済みます。
サウジでは、商品・役務を番号付きの区分に分類する国際的なニース分類が採用されています。各出願では、保護を求める区分と具体的な商品・役務を明記する必要があります。
- 現在販売している商品と、今後数年以内に現実的に販売予定の商品を洗い出す
- 商品と関連する役務の両方をカバーする(例:化粧品はある区分、小売・オンラインストアのサービスは別の区分)
- 審査官から照会を受けやすい曖昧な表現ではなく、明確で具体的な記載を用いる
- 文字商標、ロゴ、スローガンをそれぞれ個別に保護すべきかを判断する
サウジ市場へ代理店や現地パートナーを通じて参入する場合でも、商標は相手方ではなく必ず自社名義で出願してください。パートナー名義の登録は、関係が終了した際に大きな障害となるおそれがあります。詳しくは信頼できる現地パートナーの選び方をご覧ください。
出願から登録までのステップ
- 調査と戦略:出願する商標、区分、ブランドのアラビア語表記を確定します。
- 書類の準備:出願人情報、商標の鮮明な見本、指定商品・役務のリスト、外国出願人の場合は出願代理人への委任状を用意します。
- SAIPへの電子出願:SAIPのオンラインサービスから出願し、SAIPが定める各段階で所定の手数料を納付します。
- 審査:SAIPが方式要件、識別力、先行商標との抵触を審査し、理由を付した応答が必要な拒絶理由を通知することがあります。
- 公告と異議申立て:審査を通過した商標は公告され、第三者は規則で定められた期間内に異議を申し立てることができます。
- 登録:異議が認められなければ登録に進み、登録証が発行されます。
外国の出願人は通常、サウジ国内の代理人を通じて出願します。委任状や会社書類は、発行国に応じて公証のうえ領事認証またはアポスティーユが必要となることが多く、必要に応じてアラビア語翻訳も求められます。
ブランドのアラビア語表記の決め方
アラビア語は、サウジの消費者が検索に使い、店頭やECサイトで目にする言語です。そのため、商標のアラビア語版にも元の商標と同じだけの配慮が必要です。
- 音訳:ブランド名の発音をアラビア文字で表記する方法で、造語や姓に由来するブランドによく用いられます
- 意訳:アラビア語の意味を用いる方法で、意味のあるブランド名に向いていますが、識別力が弱まる場合があります
- 結合商標:両方の文字を組み合わせたロゴで、出願した組み合わせ全体は保護されますが、各要素が単独で保護されるとは限りません
出願前にアラビア語のネイティブスピーカーに確認してもらい、発音しやすいか、意図しない意味を持たないか、パッケージ、ラベル、ECサイトで使う綴りと一致しているかを確かめましょう。商品ラベルについては、アラビア語表示のガイドもご参照ください。
マドリッド制度か、サウジへの直接出願か
サウジは世界知的所有権機関(WIPO)が運営するマドリッド制度に加盟しているため、外国のブランド所有者は本国での出願または登録を基礎とする国際出願でサウジを指定することができます。どちらのルートも利用可能で、どちらが適しているかは商標ポートフォリオと事業上の優先順位によって異なります。
- マドリッド制度による指定:一つの出願で多数の国を管理できて便利ですが、本国の基礎商標に依存し、拒絶理由には現地で応答する必要があります
- SAIPへの直接出願:サウジでの指定商品・役務やアラビア語版をより細かく管理でき、サウジが重点市場である場合に選ばれることが多い方法です
- 併用:中核となる文字商標はマドリッド制度で、アラビア語版や現地市場向けの商標はサウジに直接出願する企業もあります
登録後:商標を守り続けるために
登録によって権利が生まれますが、その権利は維持し、使用し、監視していく必要があります。
- 更新期限を管理する:保護期間は一定で、期限内の更新が必要です
- 登録した態様のままサウジ国内で商標を使用する:長期間の不使用は取消請求の対象となるおそれがあります
- 権利者の名称・住所の変更や譲渡はSAIPで登録手続きを行う
- 新たな出願やオンライン上の出品を監視し、紛らわしい類似商標がないか確認する
- 主要なECプラットフォームでブランドの権利者登録を行う(サウジのECマーケットプレイスでの販売ガイドをご参照ください)
- 商業省に登録する商号や .sa ドメイン名を商標と整合させる:それぞれ別個の権利です
模倣品が見つかった場合、登録商標は所管当局への申立てや、水際での税関との連携の根拠となります。
よくある失敗とRDOのサポート
- 出願前に一般公開や展示会への出展をしてしまう
- ロゴだけを出願し、文字商標やアラビア語版を忘れる
- 区分を絞りすぎて、商品ラインの拡大時に保護の空白に気づく
- 代理店に自社名義でブランドを登録させてしまう
- 拒絶理由通知や異議申立てへの応答期限を逃す
RDOは、会社設立と並行して商標出願の準備と調整を行い、書類と翻訳を整え、SAIPでの手続きをフォローアップし、応答期限や更新期限を管理します。登録の可否はSAIPが判断しますが、早めの丁寧な出願がブランドにとって最も確かなスタートとなります。商標出願が市場参入計画全体のどこに位置づけられるかは、サウジでの会社設立ガイドで解説しています。
よくある質問
登録にどのくらいかかりますか?
審査と異議申立期間があるため、早めの出願が安心です。
アラビア語版も登録すべき?
多くのブランドが保護のためアラビア語版も登録しています。
出願に異議を申し立てられた場合はどうなりますか?
異議はSAIPの手続きに従って審理され、出願人は先使用の実績や商標間の相違点などの主張と証拠をもって反論できます。定められた期限内に応答することが不可欠です。当事者間で和解が成立したり、指定商品・役務を限定したりして解決するケースもあります。
商号を登録すればブランドは保護されますか?
商号の登録だけでは十分ではありません。商業省に登録する商号は会社そのものを識別するもので、SAIPに登録する商標は商品・役務に使用するブランドを保護するものです。多くの企業は両方が必要であり、内容を一致させておくことが大切です。